「犬の非炎症性脱毛の2例」

動物損保会社の統計によると、動物病院に来院する病因の第1位は皮膚疾患だそうです。

1アニコム

日頃の診療でも、皮膚の悩みは本当に多く、長年悩んでいらっしゃるオーナーさんからも頻繁に相談を受けます。

痒み、フケ、脱毛、腫瘍など皮膚病と言っても範囲が広いのですが
今回発表のテーマは、これといって原因が見当たらないけど、ごっそり毛が無い、、、、、(非炎症性脱毛)という子達の例です。

11治療前

ゴールデンレトリバー  3歳 去勢オス

3脱毛2

ミックス犬   7歳  去勢オス

 

犬の非炎症性脱毛の原因には、ホルモンの失調、季節性、遺伝性などが知られています。

4脱毛原因

検査をしても原因がわからない、どんどん脱毛範囲が広がっていく
オーナーさんはとても不安に感じるし、美容上の問題だけとは言えない内科的な問題が潜んでいるのでは?
といろいろ検査を受けられても、はっきりとした検査上の異常が出てこない例も多いようです。

 

血液検査やアレルギー検査 ホルモン数値の測定など、検査を進めていきますが、伝統医学的には、「毛」は大腸と「肝」が大きく影響を及ぼしていると考えられています。

 

今回の2例はいずれの検査数値にも異常がなく、半年以上治らずにどんどん脱毛範囲が広がってきたということで、オーナーさんの希望で治療開始しました。

「隠れ便秘」

毛にトラブルを抱える子に多く見られる
のが「隠れ便秘」
毎日規則正く出ているのに、レントゲンを撮ると
たくさんのウンチとガス、、、

5レントゲン

この状態を放置したままだと、いくら発毛の成分を補っても
吸収が悪く、治療も思うように進みません。

(毛の量や艶などでお悩みのオーナーさまへは、腹部レントゲン検査をおすすめしています。異常が見られた時は、食べ物、漢方薬などで先ず腸のお掃除に取り掛かります!)

「皮膚、結膜の充血」

次に注目したのが、体のあちこちに赤黒く充血している所や、薬を使っても残ってしまう結膜の充血箇所があることです。

6目充血

8鼠径発赤-2

皮膚の表面にはたくさんの血管が通っていますが、その血管の透過性が狂ってしまうと、皮膚が血行不良となり
毛を保っていることができなくなってしまいます。

 

編熱」

また「編熱」も、厄介な皮膚のトラブルの原因の一つです。

オーナーさんから

* 手足をよく舐める
* 体の表面は冷たいのに、すぐにハーハーと息が荒くなる
* 歯茎が赤い
* 耳が冷たい・耳が熱い
などの症状を聞いた場合、「編熱」を疑います。

治療の流れ」

今回の2例で行ったことは

腸を整え(漢方薬)
血管の透過性を正常にし(ボートルケール)
編熱を解消(VAゲッツ)
循環を良くする(Pリキッド)
肝の鬱滞と熱をとる(アミックス)

 

これらを証に合わせて組み合わせ、良いバランスに持って行ったところ
約2ヶ月〜3ヶ月で脱毛部位にはこんなに毛が生えてきました。

11治療前

治療前

12治療後

治療後

13治療前

 

治療前

 

14治療後

治療後

 

毛質もしなやかに、充血気味だった結膜もすっきりしました。

 

 

 

 

6目充血

 

 

 

 

 

16目治療後

眼の充血がとれるのと同時に、頻繁に舐めていた手も舐めなくなったそうです。

また、気になる隠れ便秘も解消し、すごく過敏な性格も落ち着いたとオーナーさんは話してくださいました。

 

体質を知り、傾いているバランスを戻してあげるのは、オーナーさんと情報をしっかりやりとりすることがベースになることを再認識した症例でした。

抗生物質、かゆみ止め、抗ヒスタミン剤など使わずに約2ヶ月〜3ヶ月で脱毛治療は終了しました。

 

今後は、皮膚疾患と血管透過性、腸、編熱の関係について研究を重ねていきたいと思います。

発毛は研究テーマとして二重丸で取り組んでいきたいので
お悩みの方は一緒に体調管理に取り組んでみませんか?

(治療経過、検査データなど持参いただくとスムーズです)